ほとんどは、1、2時間を争うような重い病気ではありません。
したがって、この病気の治療は、患者さんの症状が起こる頻度と症状の強さによって若干違いがあります。
軽い症状が年に2、3回しか起こらない場合。
軽い症状が一年に2、3回しか起こらない方には、起こった時だけ飲む薬が処方されます。
たとえば、数種類の抗不整脈薬のカクテル治療として、症状が起こった時だけ次の三剤を一度に内服すると大変に効果的です。
そして、同時に、この症状を止める方法として、薬を飲む前に自分で次のようなことなどをためしてみるとよいでしょう。
大きく息を吸って、そのままで苦しくなるまで息をこらえる。
からのどに深く2本ほど指をつっこんで、ゲェーと吐き出す。
冷たい水の入った洗面器に顔をつけ、息をこらえる。
このような動作は、どれも心臓への迷走神経活動を刺激し、心臓の中で電気信号が伝わりにくくなり、症状が止まります。
症状が月に数回起こる方では、予防のために毎日薬を飲むほうがよいと思います。
治療薬としては、次にあげる薬剤を単独で、または組み合わせて服用します。
ベータ遮断薬の他、次のような抗不整脈薬などがある。
多くの場合、これらの薬を毎日服用すれば、この症状の出現をかなりおさえることができます。
この病気のグループの患者さんの一部で、甲状腺というホルモンを作る小さな器官が異常である(甲状腺機能冗進症)ことから起こるタイプがあります。
このタイプでは甲状腺の病気を治療することがまず優先されます。
甲状腺の病気が治りますと、しばらく遅れますがこの心臓の病気もよくなります。
アメリカのB大統領がこの病気で入院したことが以前報道されていました。
カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)妊娠してお子さんが欲しい若い女性、なにかの制約から毎日三度薬が飲めない方や飲みたくない方、薬を飲んでも症状の出現がおさえられない方の場合には、カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)という新しい治療方法が勧められます。
カテーテル心筋焼灼術とは、足や肩などの血管の中に、細く長い電気のコードを入れて、それを心臓の中にまで進めて、そこでこの病気の原因となる心臓の異常な部分を電気で焼いてしまうものです。
この治療法では、心臓手術をしないでも三時間程度のこの治療が成功すれば、薬を飲まなくても症状は起こらなくなります。
治療の入院期間は一週間ていどです。
最近、この治療法による成功率はきわめて高く、考慮してもよいと思います。
しかし、現在、日本ではこの治療ができる病院は限定されます。
注意が必要な病態・・心臓内の血栓の治療。
一部の患者さんには、この病気もそんなに安心してはいられない注意が必要な病態が出現することがあります。
この症状の異常が数日間続く場合には、心臓の中に血液の固まり、すなわち、心臓内に血栓ができてしまうことがあるのです。
血液の固まりがそこで静かにしていればよいのですが、もしも心臓から離れて血管内を流れはじめると大変です。
頭に流れていくと脳の中で血管を塞いでしまい、腎臓にいけば腎臓の血管を、お腹にいけば腸管の血管を、足にいけば足の血管を詰まらせるというように、新たに重大な病気となってしまうのです。
可能性は非常に少ないのですが、この病気でもう一つの重大な問題は、次のような時でありただちに治療しなければ、生命に危険が及ぶ場合があります。
WPW症候群に心房細動の合併。
心房細動の一対一伝導。
側肥大型心筋症に心房細動の合併。
これらの心臓の速い動きは非常に危険であり、自然に治るのを待っていると急死する場合があります。
このようなことにならないために薬で早めに、この異常に速い頻脈を止め、普通の速さの脈に戻してやる必要があります。
もし、心臓の中にすでにこの血栓ができていたら、入院してそれを溶かしてやるような治療をはじめなければなりません。
この危険な異常は、心電図をとればわかりますが、ただちに入院して薬を注射したり、それらが無効であれば胸に電気ショックを与えて、心臓の速い動きを止めなければなりません。
植え込み型の電気的除細動器治療。
常に死と直面するこの状態は、いったんは治ってもその後の服薬治療もむずかしく、また、内服薬だけでは再発を抑えきれないこともあります。
最近はこれによく効く内服薬(I群やV群の抗不整脈薬など)もありますが、万能ではなくまた副作用が強いという欠点もあるのです。
さらに、カテーテル心筋焼灼術もこの病気の一つの治療方法ですが、植え込み型の電気的除細動器という新しい装置の効果が最近注目されています。
頻脈性不整脈の検査。
いずれにしてもあなたの病気がどのようなものであるかを調べて、正しい診断を行い、治療をはじめなければなりません。
そのための検査は、次の手順で行われます。
この植込み型除細動器の装着によって危険な不整脈による患者さんの死亡率が大きく減少したことが報告されています。
頻脈性不整脈診断のための検査。
医師の診察、基本的な血液と尿検査、胸部レントゲン写真、心電図。
ホルダー心電図、心臓超音波検査。
トレッドミル運動負荷検査、心臓核医学検査。
心臓電気生理学的検査、心臓カテーテル検査。
医師による診察、基本的な血液と尿検査、胸部レントゲン写真と心電図については全員の患者さんが該当します。
診断には心臓が突然速くなった症状の時に心電図を記録するために、ホルダー心電図検査をする必要があります。
ただ、ホルダー心電図検査をしている時に、症状が起こってくれればよいのですが、もしそうでなければ診断できません。
実際に、そのようなことはよくあるために、患者さんには何度もホルダー心電図検査をしていただくことがあります。
心臓超音波検査は、不整脈を起こす背景として、心臓になにか特別な原因がないかを確認するために行います。
また、運動によって、この不整脈がどのように変化するかを調べたり、この不整脈が狭心症と関連がないかを調べたりする必要があれば、卜レッドミル運動負荷検査や心臓核医学検査が予定されます。
診断のために、さらに詳細な精密検査が必要になれば、入院して心臓電気生理学的検査や心臓カテーテル検査が予定されることになります。
患者さんへの助言。
この症状を示す原因が心臓病であれば危険です。
この症状の原因が脳や血管の病気、あるいは、その他によるものであったとしても、やはり検査が必要です。
いずれにせよ、その原因を調べるために医師の診察を受けてください。
もし心臓病が原因であれば、入院して人工心臓ペースメーカーの植え込みなどの特殊な治療が必要となるでしょう。
洞不全症候群房室ブロック狭心症。
大動脈弁狭窄症閉塞性肥大型心筋症。
気を失う心臓病(徐脈性不整脈ほか)、肺高血圧症、めまい、失神の症状、めまいや失神を起こす病気は、先にあげた心臓病だけではありません。
心臓病以外としては、次のような病気も考えられます。
一過性の脳虚血などの脳血管障害、起立性低血圧、貧血、自律神経失調症、不安神経症、耳性のめまい(メニエール症候群、突発性難聴)、神経反射性失神、てんかん発作、脳腫傷、耳性のめまいは天井や体が回転する感じがあり、多くは耳鳴り、難聴、吐き気などをともないます(回転性めまい)。
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